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欲望の翼
欲望の翼 (JUGEMレビュー »)

熱帯のジャングルを俯瞰するあの緑色の風景は、飛び続ける『脚のない鳥』の視線のようだ。じわりと汗をかいた男女が、サッカー競技場の売店で『1分間の友人』になる、それは『永遠に続く1分』の始まりだった・・・。

私がレスリー・チャンに激しく恋をするきっかけになった1本。ここから香港映画にのめりこみ、今もレスリーと香港に恋をし続けている。あなたにも、『あの1分』の魔法を、是非。
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音楽と記憶は結びついている
ちょっと前の記事になるけれど。

『soanblog 創庵』さんのところで『MORE THAN WORDS』という記事を読んで、とても懐かしく思った。創庵さん(勝手に名前を縮めてすみません)のblogはデザインがなんとも美しいのに加え、あっさりとした語り口が心地良く、カフェで寛いでいるような気分になれるのでちょくちょく覗きに行っている。

私には『MORE THAN WORDS』を聴くと必ずセットで思い出す風景がある。それは、タイのバンコク。私以外の人にとっては「なんで??」という組み合わせだろう。しかしそこが音楽の不思議。思い入れの強い情景のバックに流れていた音楽は、鮮やかな記憶を喚起するスイッチになるのだ。

(この先は私の個人的な記憶の話)
10年ほど前、私はしょっちゅう日本を脱出してはアジアの国々をうろうろしていた。特にお気に入りはタイのバンコクで、1度行ったら何ヶ月も滞在しっ放しだった。

どこへ行っても音楽と離れられない私は、友人と共に地元のタイ人の若者が集うパブへ毎晩通うようになった。ここで言うパブとは、まあ日本のライヴハウスに近いものだと思ってくれればいい。仏教の国の長髪ロッカー達が高度な演奏を繰り広げ、なんだタイのロッカーもやるじゃないか、ずいぶん水準高いな、と驚いた。面白くて毎晩通ううちに次第にバンドマン達と仲良くなり、音楽談義に花を咲かせた。店内には洋楽に混じって日本のバンドのプロモーションビデオが流されており、彼らは日本の音楽にも詳しくて私を大笑いさせた。

音楽は国境を越える、というのは本当である。私達は音楽を介してあっという間に打ち解けた。ミュージシャン同士が話すことなんてのは世界共通の内容らしく、私が東京でメンバーと喋っているのとほぼ変わらない。「最近あの曲のギターソロでAが周りとのバランスを無視してすぐ暴走するだろ、まいったよ」「でもそれを“ちょっと考えろよ”って注意すると“これがフィーリングってもんだろ”って言うんだよな」「なにがフィーリングだよ(笑)ありゃセンスなさ過ぎ」「わがままだからなあ、あいつは」・・・などなど。彼らはタイにおけるロックミュージックの位置についても話してくれた。曰く、ポップスが結局一番金になるんだよ、ロックミュージックなんてタイでは認知度が低くてさ、でも僕らは歌謡曲なんてごめんなんだ、と。ああ、そのへんは日本だって同じ同じ、と頷いて私は笑った。

私達は深夜パブが終わった後、みんなでビリヤードをしに行ったり、別のパブに音楽を聴きに行ったり、ごはんを食べに行ったりするのが日課になった。特に気が合うあるひとつのバンドと常に行動を共にするようになり、やがて私はその中のひとりと恋をして、以後数年間交際した。彼のお父さんは私を自宅に招き、「宿に泊まってたらお金がかかるから、今夜からうちに泊まりなさい」と言ってさっさと私を引っ越させてしまい、誰が親戚だか他人だかわからないほど大勢の人達に囲まれた賑やかな生活が始まった・・・。

昼間は近所の子供達にタイ語のテスト攻めにされ、夕方になると彼と共にパブへ出勤する。彼らのプレイリストの中には『MORE THAN WORDS』があったので、私は繰り返し繰り返しその曲を聴くことになった。あの旋律はバンコクの風景とすっかり融け合い、私は『MORE THAN WORDS』を聴くと条件反射であの湿度の高い南国の夜の空気を思い出すのだ。沢山の記憶が蘇る、ハジャイの市場で彼らとわいわいショッピングをしたこと、チェンマイの水掛け祭りで彼らと大騒ぎをしたこと、みんなでごはんを食べに行った深夜のレストランのテーブルで彼がペーパーナプキンの薔薇を作って私の髪に挿したこと、ぎゅうぎゅう詰めの車の中でカーステレオから流れる歌をみんなで大合唱してげらげら笑ったこと・・・。

彼らのバンドはある年、大手レコード会社と契約した。大きなドームでコンサートも開き、翌日の新聞にもでかでかと載った。しかしヴォーカルが交代し、ドラマーもバンドを脱け(私の交際していた人はこのドラマーだった)、メンバーは散り散りになって、あのメンバーによるあのバンドは消えてしまった。もうどこにもあの時の彼らは居ない。解散の翌年か翌々年、ベースの彼がテレビに出てたよ、と私の友人から聞いた。誰だかソロシンガーのバックミュージシャンをやっていたそうだ。

もうどこにも存在しない『あの時の彼ら』を、『MORE THAN WORDS』を聴く度に思い出す。
| Music | 03:45 | comments(2) | trackbacks(0) |
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コメント
おお! そんなドラマティックな思い出があったのですね!
いいなあ。
私の思い出なんて薄っぺらくていかんっ。
| じゅじゅ | 2004/06/14 5:01 AM |
どらまてぃっくっちゅーか、内実はマヌケな思い出も満載なんですけどね、わーはーはー。

・・・自殺しよう(TeT)
(↑なんか思い出したらしい)

薄っぺらいなんてそんな、私はじゅじゅさんの留学時代の話やら、マリリンちゃんの話やらを、どれだけ興味深く読ませてもらっていることか。まだ書かれていないであろう話がいつか読めることを期待しているのです。
| dear | 2004/06/14 4:38 PM |
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