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欲望の翼
欲望の翼 (JUGEMレビュー »)

熱帯のジャングルを俯瞰するあの緑色の風景は、飛び続ける『脚のない鳥』の視線のようだ。じわりと汗をかいた男女が、サッカー競技場の売店で『1分間の友人』になる、それは『永遠に続く1分』の始まりだった・・・。

私がレスリー・チャンに激しく恋をするきっかけになった1本。ここから香港映画にのめりこみ、今もレスリーと香港に恋をし続けている。あなたにも、『あの1分』の魔法を、是非。
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鉄道員
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昨夜テレビで観たイタリアの白黒映画。良い映画だった。

人柄があまり器用でない初老の父親が、しょっちゅう葡萄酒を飲んでがみがみ言っている。微笑をもって毎日の生活を地道にこなす母親。なかなか仕事をせずに昼頃起き出してくる長男と、忍耐強そうでいて実は自我が爆発しそうな長女。ずいぶん歳の離れた末っ子は、まだ小さな男の子。別段裕福でもなく、食卓でも父ががみがみ言っているけれど、それなりに平穏な、どこにでもある家庭生活だった。

映画は、末っ子の男の子の視線で語られる。父は鉄道員の仕事をしていたが、ある日若者が機関車に身を投げる。それは仕方のない事故だったが、「俺が轢き殺してしまった」と父はショックを受け、酒を飲み過ぎるようになり、以来、家族とも友人とも亀裂が生じていく。
娘の妊娠を知って、父は相手の男のところへ怒鳴り込み結婚させる、しかし子供は流れてしまう。働かない長男はどこかで金を借りたらしく、いわくありげな男達が家まで催促に来て、母は仕方なく、多くもない装飾品を換金することを許す。父は長男と諍いをして、長男は家を出て行く。

家に残ったのは、妻と末っ子の男の子だけ。食卓の風景が寂しくなる。こんなごたごたの中でも、末っ子の男の子が父親を慕う気持ちは変わらない。不器用でがみがみ怒鳴っていても、この子にとっては立派で大切なお父さんなのだ。

末っ子は小さいながらも、常に家族全員のことを心に掛けていた。度々姉のところに足を運び、綻びていく結婚生活を見守る。家庭や職場での気まずい事々のため、飲み過ぎて家に帰らない父を、バーまで迎えに行く。ばらばらになった家族たちの間を、この小さな子が小さな胸の中であれこれ考えながら行き来する様子には胸を打たれる。父はとうとう体を壊して倒れてしまった。

家族それぞれが、それぞれに苦しい毎日を経た末に、男の子が歩き回ったぶんだけ糸が絡まりほぐれして、クリスマスの日には、がらんとしていた家に疎遠になっていた友人達が集まって賑やかになった。長男と父との和解、長女からの電話。全ての人達が帰ってきた。本当はみんな、不器用で寂しかったのだ。ゲスト達が帰ったあと、夫婦2人で微笑んで話をする。その夜彼は妻にギターでセレナーデを弾き、そして・・・。


カテゴリとしてはヒューマンドラマだろうか。もし似たようなストーリーを日本映画でやったら、どうにもウェットでどろどろしたものになりかねないところだが、この白黒のイタリア映画は所謂『名画』というべきタッチでもって、全く不快感を感じさせない。末っ子の男の子の、胸に迫る歩き方、表情、声、全て素晴らしい。

向田邦子の小説などもそうだが、なんでもなさそうな日常を切り取った風景の中に、深く感じ入るものがあらわれる。人間は、人間を描いたものの中にこそ、それを見る。
| Cinema | 13:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
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